4th・ミッション


木下あゆ美と握手せよ


「木下あゆ美/長谷部瞳「怨み屋本舗REBOOT」DVD発売記念イベントに潜入せよ

 礼紋探偵社地球支店は依頼があればどのような事件の捜査にも乗り出します。社長に激似の女優「木下あゆ美」さんのDVD発売イベントが開催される告知がありました。考えてみれば私は未だに一度も「木下あゆ美」さんにお会いしたことがないのです。これだけ調査活動をしている割には「顔も見たことがないってのは、どうよ」と自責の念に駆られていたのですが、「いっそのこと、会わない方がよいのでは」という気持ちも相半ば。そもそもDVD-BOXは高額でもあり、貧乏な地球支店は調査経費に余裕もないので、アマゾンの予約割引で購入することに決めて、告知があるなり先行予約していたのです。それを解約して石丸電気で買うべきか・・・と悩みました。ハードボイルドな探偵である私にはしがらみがあり、東京への出張調査や潜入捜査は不可能であると諦めていたのです。

 すると、ネット仲間の年忘れオフ会の誘いがありました。日時は11月28日とまさにイベント前日。これぞ天佑、行くしかあるまいと、ホテルを予約しアマゾンをキャンセルしました。28日の午後にDVDを購入して、参加券をゲット。それを見るとイベント開始一時間前から入場順のくじ引きをするとのことなので、早くから並ぶ必要もないみたいです。かくして2009年11月29日。9時40分、石丸ソフト本店前にやってきました。前日ほどではないのですが、天候に恵まれ冬晴れの青空。すでに50人くらいが店の前に列をなしていました。女性は二、三人。男ばっかり。それもかなり年配。30オーバーが半分以上。私も目立つこともなく列にとけ込むことに成功しました。DVD未購入者に対して、まず購入してから列に並ぶようにとのアナウンスがあると、20人くらいがどやどやと列を離れます。まずは抽選。

 くじをひくと48番という微妙な順番。アンケート用紙と鉛筆を渡されました。よく見るとアンケートではなく、企画へのエントリー用紙でした。要するに、「怨みを晴らしたい人居ますか?」と言ったラジオ番組みたいなコーナーがあるらしいのです。あぁ、もうすぐ会えるのかと実感が湧いてきます。何を書こうか迷った末に、正直に「支店長(礼紋探偵社地球支店)」と身分を明かし、「一目会えればそれで満足です」といきなり潜入捜査を放棄してしまうコメントを記入してしまいました。

 10時40分。番号順に再整列。ぞろぞろと囚人のようにエスカレーターを移動。イベント参加には15960円のDVD-BOXの購入が必要ですから、貧乏な若者はあまり参加していないようです。逆にキモオタを絵に描いたような人たちもいました。私は前から四列目でしたが、目の前にデカブレイクがいたのにはびっくり。観客は総勢130人くらいでしょうか。とかく年配のファンが多く、中性脂肪やγ-GTPが高いイベントになっていました。

 東京12チャンネルの局アナ(狩野恵美さん)の司会でイベントが始まりました。木下あゆ美さんはゴージャスな紫のワンピースでしたが、長谷部瞳さんは地味な藍色のスタイル。主役を立ててるんでしょうね。生で始めてみる木下あゆ美さんは美しくて、キュートでした。中山競馬場のパドックで間近に見るサラブレットみたいにピカピカでした。イベントは二人に自分の好きなシーンをピックアップしてもらい、それを元にしたトークから始まりました。最初は木下さんが選んだ、一話のターゲットが殺されるシーン。次が長谷部さんが選んだ女子中学生がキモヲタ青年と援助交際をさせられるという悲惨なシーン。どちらも重たいシーンなので会場も鎮まります。特に援助交際のシーンはデブでメッセンジャーバッグを持ち、紙バックも提げていますというような、この会場にも現存しそうな痛いキャラクターが大画面に映ります。会場をヒヤリとさせる長谷部さんのナイスなチョイス。


木下あゆ美さん「ファンの怨み晴らします!」

 木下あゆ美さんは星影との喫茶店での問答を選んだのですが、何故か流れませんでした。「怨みを晴らしたい人居ますか?」のコーナーもさくっと終わり、30分が経過。残り30分は握手会という流れ。握手も一人15秒くらいでてきぱき進んでいきました。仕切りスタッフがどんどん進行させていますので、それほどゆっくり話も出来ないです。まっこんなもんなのかなぁといった感想です。

 最初に握手してくれたのが、長谷部さん。両手できちんと握手してくださり、目を見て声をかけてくれるという感じ。「私冷え性なんです」とか言ってましたね、手が冷たかったです。かなり積極的に客たちに話しかけている感じがしました。二人の間に「怨み屋フィギィア」がありましたので顔をよく見てきました。テレビや写真で見るのと違って、似てましたね。このフィギィアは優れものでした。たぶん、今まで作られたものの中では一番の出来映え。でも、DVD-BOX購入者の中から抽選で5名様にプレゼントというのはひどいプレミア。全員にプレゼントすべきですね。

 私の番になりました。あまりにも社長に似ていたものですから、すっかり興奮した私は「礼紋探偵社地球支店の支店長です。社長。初めてお会いすることが出来ました」と言ってしまい、彼女はどん引きです。しかし、そこで笑顔を崩さないのがプロです。「なんだなんだ」という表情ながらも、無難に「ありがとうございます」と返してくれました。彼女の手は細い芯を柔らかいスポンジで包んだような頼りない印象の手でした。握手と言うよりは彼女の手を持ち上げさせてもらったみたいな感覚でしたね。あぁ、やはり手指が細いんだなぁと感じました。

           

 その後、彼女たちが舞台から引っ込むまで後ろの方で見学です。最後にプレス向けの撮影会を行って終了。遠くから彼女を見つめながら、「この感情は・・恋か?」と自問自答してしまいました。かくして「木下あゆ美」さんと初めて会うことが叶ったのです。自分が知る限り、一番美しい「木下あゆ美」を私は確認することができました。

 さて、二人の女優さんが並んでトークや握手をしていたのですから、当然ながら二人の資質の違いが見えてきます。長谷部瞳さんは言わずと知れたウルトラマンマックスの女性隊員であり、最新作「ロボゲイシャ」ではもう後戻りが出来なくなりそうなカルトなキャラを演じて、ただの美人タレントじゃないよと言うところを知らしめています。正統的な美人であり、すらりとしたスタイル。演技力も身に付いてきている期待の女優です。ルックス的には木下さんよりも整っており、そのためか木下さんの個性の前に霞んで見えました。今回のイベントでは自分が「木下あゆ美」の引き立て役であることをよく弁えており、トークでは一歩下がって、握手会の際には逆に一歩踏み込んで、ファンの手を自ら取り積極的に交流していました。このイベントで終始中心となって活躍していたのは実は長谷部瞳さんでした。

 ずっと二人が握手会をしている様子を最後まで見ていたのですが、木下あゆ美さんのリアクションは、やはりうまくないようです。彼女の人見知りする癖は直ってないように感じました。積極的にファンに絡むという気持ちが薄いようにも見えてしまいます。今までの彼女は回りを身内だと意識すると俄然「内弁慶」ぶりを発揮して、グダグタなトークを展開しがちでした。緊張から舞い上がってしまうようです。そもそもブログにコメント欄を設けなかったり、ファンメールに対する返事を一切しない宣言をしてしまっているあたりに、サービス精神の欠如と言うよりも彼女の不器用さが現れているようです。アドリブに弱い上がり症資質な故に、こういう短時間のイベントやブログは苦手なのかもしれません。

 二人の女優さんのコメントがそれぞれのブログで読み取れます。二人の個性が如実に出ていますので、私の解釈がそうそう間違ったものではないことの証左になると思います。とはいえ「木下あゆ美」は女優なんですから、ファンサービスよりも演技力、芝居力でファンを魅了すればよいのです。