仮面ライダーフォーゼ THE MOVIEみんなで宇宙キターッ!(2012年、東映)


 アリシア連邦で開発された機械生命体・宇宙鉄人は自分の意思を持ち人類に反逆を企てたため、生みの親であるブリンク博士は開発途中の衛星兵器XVU(人工衛星)に宇宙鉄人を封印してしまう。宇宙鉄人たちは人間体で復活を遂げるが、完全な宇宙鉄人の姿になるためには衛星兵器XVUの中の封印を破らねばならない。完全復活を遂げた宇宙鉄人と仮面ライダーたちの決戦がクライマックスとなる。
  CGバリバリのカーチェイスはかなり楽しい。しかし、所詮は邦画であり、予算の少なさが肝心のCGに透けて見えてしまうのがいつもなから口惜しい。テレビシリーズの劇場版であるので、テレビシリーズに詳しくない人にはよくわからない部分もあるが、テレビシリーズを一年間見続けたファンにとっては過去の出演者たちが次々と登場し、「友情パワー」をライダーに託す熱血で王道な少年ジャンプ的な展開はウェルメイドな「仮面ライダー映画」といえる。
 
 木下あゆ美はミニスカ秘書として登場。手に持った書類をあたふたとぶちまけてしまうという典型的なドジっ娘秘書役である。仮面ライダー部の高校生たちに宇宙パイロットの特訓をさせて、宇宙へ誘うお姉さま的なポジション。原幹恵が黒のエナメルスーツ姿の巨乳スパイに扮し、アクションを一手に引き受けていたので、木下はアクション的な見せ場はない。しかし、ドジっ娘秘書というのはもちろん仮の姿で、正体は機械生命体・宇宙鉄人スカイダイン。ドジっ娘を演じる冷たい悪女という温度差のかなりある役をそつなくこなしている。惜しむらくは人間体としてスカイダインが復活した時の回想シーン。タイムスリップしてきたターミネーターのような描写で、つまり木下は全裸の設定なのだが、肩から上しか画面に写ってない。もう少し撮りようがあったはずで、クリスタナ・ローケン程度には頑張って欲しかった。原幹恵だけにセクシー要素を負わせては役不足であり、日本映画の損失である。現場で監督だけが自己満足してちゃあ、いけません。