幻の最終回


最終回を作ってみました。


「特捜戦隊デカレンジャー Episode.Fainal」(原作 八手三郎     脚本・監督 支店長) 

プロローグ

  前世紀の科学者、スミコ・オザワが設計したG4システムは人間の身体能力を飛躍的に高める強化服だったが、装着員の神経と融合する部分が不完全であり、装着員の命を縮める禁断のシステムだった。時代が流れて地球が銀河連邦に加入した頃、銀河連邦のボイサー博士がこの埋もれていたG4計画の再開発に着手し、ついに完成させたのが宇宙刑事のコンバットスーツだった。G4スーツはメカニックな特殊金属製であり、装着員が文字通り着るタイプの強化服だったが、コンバットスーツは特殊金属を超微粒子状に分解し、装着員に転送するという画期的なシステムを持っていた。このスーツは抜群の耐久性と攻撃性能を持っていたが、呪われたG4システムの因子を引き継いでおり、気力体力に秀でた特殊な才能の持ち主にしか100パーセントの力を引き出すことが出来ない上に、このスーツを一年以上着続けると、98パーセントの確率で突然死に見舞われてしまう。コンバットスーツは銀河連邦警察によって回収破棄されたが、その耐久性と抜群の攻撃力を惜しむ声は多かった。宇宙警察機構が正式に発足した後で、現在のデカスーツが開発される。装着員の神経との完全な融合を目指していないために、耐久力や攻撃力と言った基本性能でコンバットスーツに劣るものの、その機動性や安全性は確かなものとなった。しかし裏社会では刹那的な破壊力を欲しがる無法者は後を絶たない。非合法筋肉増強剤メガゲストリンはコンバットスーツの装着員に必要なレベルの人並みはずれた気力体力を提供してくれる効能が報告された。裏社会の武器商人たちが開発したマッスルギアはコンバットスーツの原理を忠実に再現したものと言える。つまり、マッスルギアを装着するためには命を削るメガゲストリンを常用しなくてはならず、さらにマッスルギア自体も装着員の命を縮める。しかし、太く短く生きる無法者たちにとっては好都合のシステムだったのである。

デカレンジャー最終回 四部作@

Episode.X1 ウィンター・ローズ

 冬に咲く貴重な薔薇をエネルギーにして悪事をはたらくウィンター星人バロズが現れて、あちこちのバラ園を襲っていた。センチャンがふとしたことから病気の少女・花子と知り合いになる。自宅療養中の花子は難病に苦しんでいた。その特効薬が今度手に入ることになっているのだが、彼女は自分の病気が治らないと思いこんでいる。熱心に励ますセンチャンに花子は言う。「私はお庭の薔薇が全部枯れたら、きっと死んじゃうのよ。」センチャンは必死に薔薇を枯らさないために、あの手この手の工夫をするが、薔薇は次々と散り、残るのは最後の一輪。さらに折から雪を降らせる寒冷前線が近づく。バロズが花子の家のバラ園を襲う。デカレンジャーが立ち向かうが、バラ園ではディーリボルバーを使えない。吹雪の中、デカグリーンが体を張って、最後の薔薇を守る。しかし、バロズには逃げられ、最後の薔薇が散ってしまう。翌日、目を覚ました花子は怖々窓の外を見る。窓の外は雪景色。窓の外には薔薇が一輪、美しく咲き誇っていた。センチャンが戦いの後、深夜に凍えながら作った氷の薔薇である。花子は彼らの真心に感動し、生きる勇気を取り戻した。地球から逃げたバロズは別な星を荒らしているところを特キョウにデリートされる。バロズを取り逃がした件で、ドギーは本部に召還され訓戒を受ける。その席で地球署が次の宇宙警察の組織替えに伴い、廃止される見通しであることをヌマ・O長官に宣告される。

デカレンジャー最終回 四部作A

Episode.X2 ダーティ・マザー

 うらぶれた大衆食堂のカウンター。「金はあるんだ。だが、現金の持ち合わせがないだけだ。飯を食わせてくれ…」髪の毛が半分白で半分黒い男が店の主人と交渉している。店の主人であるヒゲオヤジが「掛け売りはしない。カード払いも駄目だ。うちは現金以外は信用しねぇ。さっさと自販機で食券を買ってきな。」と叫ぶ。「だから、小銭がないんだって。」「ちょっと、ちょっと、おじさん。」「おやおやぁ、こんな親父ばかりが集まるような店には不釣り合いな美しいお姉さん。」ミソサバ定食の食券を差し出す手には黒い革の手袋。「説明的なお世辞、ありがとうございます。これ、私のおごり。だっておじさんは食い逃げしそうな勢いなんですもの。罪を生まないこともまた使命。」「ありがとう。この礼は必ずするよ。ごちそうさま。」

 マイク星人テレサが麻薬密売の取引現場となるスナックでママをやっていることを突き止めたテツは、そのまま張り込んで現場を押さえようとする。テツは地球署廃止の決定を覆すためには大きな手柄を立てることが肝心だという焦りがあった。アブレラが現れ、テツの張り込みに気づき、銃撃戦となる。テレサが被弾する。テツが変身する。「エマージェンシー!」「テツがブレスロットルのチェンジモードにアクセスすると、内部に蓄積した宇宙金属デカメタルが放出され、テツの体に吸着してデカスーツになるのだ。」「フェイスオン。無法な悪を迎え撃ち、恐怖の闇をぶち破る。夜明けの刑事、デカブレイク!高速拳ライトニング・フィスト。」アーナロイドたちを全てなぎ倒し、アブレラにジャッジメントを要請するが、宇宙最高裁判所はデリートを許可しない。「そんな、ナンセンス。何故。」慌てるデカブレイクに昂然と言い放つアブレラ。「私を裁く事は宇宙最高裁判所には出来ないのだ。」「なに。」アブレラの銃がデカブレイクの左手を打ち抜く。変身が解かれたテツの胸に銃弾が次々と突き刺さる。「さらばだ。特キョウの坊や。」消えるアブレラ。

 必死に体を起こしてテツは怪我をしたテレサをマシンボクサーに乗せる。「早く、これに乗ってください。メディカルセンターまで自動走行させますから。」「あなたは…。」「マシンボクサーは一人乗りです。僕のことを心配するなんて、ナンセンスですよ。」見送るテツ。ふっと微笑し、壁によりかかる。そのまま、ずるずると崩れ落ちるテツ。壁にべっとりと血の跡がつく。テツの背中は出血で真っ赤に染まっていた。力尽きてその場に倒れるテツ。

入浴中のジャスミンとウメコ。「神がくれたこの美貌。無駄にしては罪になる。」ジャスミンが立ち上がり、鏡に向かってポーズを取っている。「何、やってんの。ジャスミン。」「若い時は二度ない。ドーンとやれって言うじゃない。」「だから?」「私も夢があったんだぁ。ウフフっ。」「何、何。教えてよ。ジャスミン。」突然、非常呼集の警報機が鳴る。「ジャスミン。ウメコ。デカルームに急げ。」

 テツとの連絡が途絶えて6時間が過ぎた。テツの所在を知らせるブレスロットルは潜入モードに切り替えたままなので、レーダーに関知されない。デカレンジャーはテツの反応が消えた地点から行方を追うものの、杳として知れない。特キョウが潜入モードに入った場合にはマーフィーですら、その追尾は不可能だった。メディカルセンターにマシンボクサーが大怪我を負った意識不明の女性を搬送したことがわかる。マシンボクサーの自動走行装置を調べるホージー。しかし特キョウの潜入モードのせいでデータがロックされていた。ウメコとマーフィーが女性の痕跡をたどって、仮死状態のテツを発見する。バンがマシンドーベルマンを驚異のドライビングテクニックで激走させ、デカベースへテツを緊急搬送する。

 テツの治療は地球の医学レベルでは不可能と診断される。第一報をキャッチして宇宙警察特別指定凶悪犯罪対策捜査一班チーフ、リサ・ティーゲルがテツの身柄を引き取りに来るが、テツは危篤状態で動かすことが出来ない。デカベースのメディカルスタッフがテツの命は後二十四時間と宣告する。肉親がいたら、呼ぶように付け加えるが、テツの両親は死亡しており、肉親はいない。「鉄幹の育ての母は特キョウのお頭だ。すぐに連絡を取ってくれ。尚、本件は特キョウ扱いとする。特キョウの不始末は特キョウが処理する。」「被害者の女性も意識を回復していない。テツのブレスロットルのデータには、彼の行動が記録されているはずだが、そのデータだけでもあれば、犯人や状況が特定できる。」しかし、白鳥スワンが果敢に修復を試みたものの、ブレスロットルは完全に破壊されていて、データが取れない。

 ジャスミンがテツの意志を探り、宇宙最高裁判所がデリートを許可しなかったために、テツがアブレラに撃たれたことを突き止める。「このケースで宇宙最高裁判所がデリート不許可の裁定を下したとは、俄に信じられない。」リサが立ち上がる。「裁判所星に立ち入ることを許されるのは金バッチだけだ。私が行く。鉄幹を頼む。」スワンも立ち上がる。「私が行かなくちゃ、メカのことはどうにもならないでしょう。マザーコンピューターのジャッジメントデータを確かめてきます。」スワンは宇宙最高裁判所星のメンテナンススタッフとしての入星許可証の持ち主だった。リサはデカバイクにスワンを乗せて、裁判所星に向かう。

 デカバイク。ヌマ・O長官に事の次第を報告する二人。裁判所星に着艦する許可を下す長官。スワンが地球署廃止の件について問いただすが、「それは決定事項だ。」と取り付く島もない。裁判所星に到着し、マザーコンピューターの心臓部へ進む。しかし突然コンピュータールームのセキュリティシステムが動き出し、二人はコンピュータールームに閉じこめられてしまう。マザーは冷たく宣告する。「うぃるすノ侵入ヲ認メル。こんぴゅーたーるーむ内ノ生命維持装置ヲ遮断シ、うぃるすヲ駆除ヲ開始スル。」

つづく